産婦人科疾患

 中国古代すでに婦人科専門の医師がいました。司馬遷が著した史記には扁鵲(へんじゃく)という名医の話が載っています。邯鄲(かんたん)では婦人が貴ばれると聞いておもむき「帯下医」となったと書いてあります。この帯下医というのは婦人科医を指します。後漢に編纂された「金匱要略(きんきようりゃく)」には婦人と標榜し、唐の時代の「千金方」、「外台秘要」では婦人門を立てました。日本でも徳時代には加賀流が盛んでした。病に男女の別はないですが、婦人には月経と出産があり、婦人科特有の疾患として扱かったわけです。

月経困難症
昔は月信痛
(げっしんつう)といいました。月経に伴い腹や腰が痛むものをいいます。月経前に痛むのも、月経中に痛むもの、月経後に痛むもの分けます。また原因により器質的なもの、炎症性のもの、神経性のものなどに分けている。
症例

多嚢胞性卵巣症候群
両側の多嚢胞卵巣、排卵障害、月経異常、不妊、不育、肥満、男性化症状などを呈するものをいう。
卵巣の楔状切除によって排卵を回復することで有名。大部分は視床下部の機能異常によると推測される。内分泌検査では正FSH、高LHが特徴とされる。
症例

不妊症(子宮内膜症)
子供を希望しながら恵まれない夫婦の状態を不妊と呼びます。不妊症の定義は特に決ってはいませんが、一般には避妊を行わないのに2年以上妊娠しないものをいいます。しかし子供を希望しながら1年以上妊娠しない場合は、一応不妊症の可能性を考え、基礎体温を測り始めたほうがよいでしょう。
症例

不妊症(瘀血証)
婦人科的な診断はちょっとわかりませんが、漢方医学的には瘀血が不妊症の原因と思われた例
症例