皮膚科疾患

アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎状の主な症状は痒みのある湿疹で、これが増悪と寛解を繰り返します。多くはアトピー素因を持った人が罹患します。しばしば乳幼児期に顔や頭にはじまり、体幹や四肢へと左右対称に下降します。思春期や成人期では上半身に湿疹が強い傾向があります。
漢方治療は西洋医学治療でも治りにくく慢性化した場合に行われることが多いです。
治りにくいとはいえ漢方のよい適応は軽症例です。急性例、重症例ではステロイド剤などの西洋医学治療を優先させます。
一般的に、慢性病を治すには患った期間の半分は時間がかかるという言葉があります。アトピーの漢方治療も同じです。治療の効果は数ヶ月以内に現れますが、体質が変わり薬を飲まなくとも症状がでなくなるまでには3〜5年と時間がかかります。
根気強く取り組む必要があります。

竜胆瀉肝湯合十味敗毒湯加石膏・大黄でようやく治せた例。
症例
荊芥連翹湯+十味敗毒湯の併用で治った例。
症例
温清飲+十味敗毒湯+桂枝茯苓丸の3者併用がよかった例。
症例
桂枝茯苓丸+十味敗毒湯が奏功した例。
症例
(準備中)

ニキビ
ニキビは医学用語では面皰(めんぽう)といいます。面皰は思春期の発育盛りに皮脂の分泌物が多くなってできます。顔の他に胸や背中にもでます。胃腸障害や便秘がその誘因となります。
毛孔に出来た皮脂の分泌物に細菌が感染すると尋常性座瘡となります。赤い円錐型の小さな丘疹ができて、さらに膿
疱となり、皮下のしこりとなります。丘疹だけならあとを残さずに治りますが、二次感染や強く掻き破した場合は瘢痕いわゆるアバタを残します。
面皰は食事、環境要因、ステロイド使用により促進あるいは増悪します。
ニキビには薬を飲むだけでなく、夜更しや不規則な生活を直し、また皮膚は清潔に保つことが大切です。食事にも注意してチョコレート、ケーキなどは避けて野菜類を多く取りましょう。
筆者は治療には清上防風湯、荊芥連翹湯、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散などを用いて治療してます。<05.02.08掲載>

最初の例は荊芥連翹湯
(けいがいれんぎょうとう)で一時改善した後悪化し、結局は防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)で治った例です。
ニキビに防風通聖散

症例
次は当帰芍薬散+ヨクイニンの定石的処方でわりと簡単に治った例です。
ニキビに当帰芍薬散+ヨクイニン
症例
次は当帰芍薬散+四君子湯+附子末で治った例です。
ニキビに当帰芍薬散+四君子湯+附子
症例
次は当帰芍薬散+補中益気湯+附子で治した例です。

ニキビに当帰芍薬散+ヨクイニン+補中益気湯+大黄+附子

症例
次は治療に手こずりましたが時間をかけてなんとか治せた例です。
ニキビに荊芥連翹湯+十味敗毒湯+ヨクイニン+大黄+附子

症例

円形脱毛症
毛髪は日々休みなく成長しています。しかしやがては成長が休止し自然に脱落します。休止期が過ぎると再び成長を開始します。つまり毛髪は成長と脱落を繰り返します。毛髪の寿命は、頭髪では男性3〜5年、女性4〜6年です。頭髪は約10万本生えてますがそのうち50〜90本位が毎日自然に脱落します。
円形脱毛症は日常もっともよく見られる脱毛症の一つで、男女年齢の別なく何れにも発症します。自覚症状がなくまた何ら前駆症状もなく突然に、頭部が円形に脱毛します。周囲の毛も抜けやすく、手掌大から頭全体にまで及ぶことがあります。さらには眉毛や陰毛にも及ぶものもあります。頭髪の他眉毛なども抜けるものを全頭脱毛といい、体毛のすべてに及ぶものを汎発性脱毛といいます。ともに難治です。難治でないものでは自然治癒が20%、再発が30〜50%といわれます。
脱毛の誘発因子には、ウイルス、病巣感染、神経障害、内分泌以上、精神的因子、ストレス説などが指摘されてきました。近年では遺伝的要因、自己免疫異常も関連するといわれています。